1* まちぶせ

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1* まちぶせ

「いーち、にーぃ、さーん…」 花巻涼17歳。 俺は今、隣町の南高の前で数えている。 何を数えてるかって? 下校中のお団子頭の女の子を。 「よーん、ご……あっ!やば!!お団子頭かと思ったら、ちっちゃーい帽子だった!」 「どんなだよ!」 いま俺にツッコミを入れたのは、ナベだ。 あ、ナベというのはあだ名で、名前は渡辺晴。 小学校からのバカ友だ。 「にじゅうしー、にじゅうごー」 「そんなに団子頭ばっかいねーだろが」 「ばれた?!」 俺たちがなんで他校に来てこんなことをしてるかと言うと、さかのぼること3時間前。 バカ友仲間の1人が 「南高にありえないくらい可愛いお団子頭の子がいる」 と言ったからである。 流行に敏感で行動力に富んだ俺たちが確かめに行かないわけがない。 とりあえず、お団子頭の女の子を数えながら、その子を探しているわけ。 「涼~…それらしい子いねーな」 …そろそろ限界かな。 かれこれ40分経った。 だいたい見つかる確率の方が低い。そもそも今日はお団子にしてないかもしれないし。 まぁ、いい暇つぶしにはなったか。 「ナベ、なんか食って帰ろーぜ」 「だな。腹減ったし」 俺はケツに付いた草を払いながら立ち上がった。んあーっと背伸びをしてから、大通りに向かって歩き出した。 「ナベ何食う?やっぱお好み焼き?」 その時ナベが後方で叫んだ。 「・・・涼!!!」 「ん?なに?」 「いた!」 ────いた? バッと振り向いたその先、50メートルくらい先に、ひときわ目立つお団子頭の女の子がいた。
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