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「うぅぅっ…」
「…」
子供の頃、よく二人で遊んだ空き地。
誰かにフラれる度、ここで雨空を仰ぐ千紗の横顔を
僕は今まで何度見てきた?
そんなの数えきれないね。
本人は恋多き乙女とか抜かすけど、
蓋を開ければ惚れっぽいだけのバカだから。
「雨ってさ、恋愛と似てるね」
「…は?意味分かんないんだけど」
「雨はシトシト優しい時もあれば、
ザーザー容赦ない時もあるでしょ?」
もっともらしいこと言っちゃって。
一体何度悲劇のヒロインごっこに
付き合わされればいいんだよ。
傘もささずに雨に打たれ続ける千紗の隣。
心の中で悪態ついている僕は、
いつだってそこから傘越しにキミのこと見てるのに。
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