雨が涙を消したなら

4/7
34人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
千紗は頭悪いし、運動音痴だし、 特別女らしくもないし。 いいところといえば…明るいところだけ? ああ、あと…僕の前以外では泣かないところも、かな。 「もーーーっ。ずーっと泣きたかったのに 最近全然雨降ってくれないんだもん!辛かった!」 「…で、今回の敗因は?」 「前の人に私のうるさいとこが嫌いって言われたこと、話したっけ?」 「聞いた。まぁうるさいよね。その人よく分かってる、って言ったと思うけど」 「だから今回の人の前では大人しくしてたのに、 話が弾まなくて楽しくないって言われた。なんで?」 「自分を偽ったりするからバチが当たったんじゃない?自業自得」 雨音に紛れて毒を吐く僕のこと、 『翔ちゃんヒドイ!』って千紗は怒るけど。 でもさ、考えてもみてよ。 いつもいつも泣いてる千紗の隣にいるのは、 誰だと思ってんの? それに…思いきり泣いたあと、 ずぶ濡れの千紗にいつも傘をさしてあげるのは 誰だと思ってんの? そんな僕にヒドイだなんて、それこそヒドイ話だよ。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!