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グレンはそう話を結び、黙ったままの三人の顔を順に見やった。
陸斗は何となく理解し始めていたが、海里と美空の頭の上にはクエスチョンマークが三つほど浮かんでいる。
黙って三人を観察していたパツィは、ちょっと難しかったかな、と微笑んで話を纏めた。
『ボクたちのお願いっていうのはね、簡単に言うと…君たちに、賢者の力を受け継いでもらって、べーテンに行ってもらうことなんだ』
「えっと…つまり、俺たちはその…べーテンって世界に転生するってことか?」
『転生、とはちょっと違うかな。あっちの世界に君たちの肉体を再構成する感じになる』
『力のせいで多少の変化はあると思うが、基本今のままの姿と年齢であちらの世界に行ける。もちろんこれは俺たちからの〝お願い〟だから、断ってもらっても構わない』
『でもちょっと…割と本気でこの条件を満たしてる人間ていないんだよね…君たちに断られちゃうとこの先いつまた条件に見合う人間が見つかるか…だから引き受けてくれるとありがたいなぁって思うんだけど…』
どう?と問われ、三人は顔を見合わせる。
…十六年。たった十六年で人生を終えた自分たちに降って湧いた、予想外の提案。
不明確なことは多い。不安もある。信じていいのか、わからない。
…それでも…答えはほぼ、決まっていた。
「…わかった。その話、引き受けてやるよ」
「例え別世界でも、二人と一緒にもうちょっと生きられるっていうのは魅力だよねぇ」
『本当!?ありがとう!』
ふう、と息を吐いた海里と、ふわふわと笑いながら頷いた美空に、パツィはぱぁっと目を輝かせる。
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