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「ですが、こちらからもお願いしたいことがあります…宜しいでしょうか」
『うん、何かな?』
しかし、陸斗が一旦待ったをかけた。パツィは頷いて陸斗を見、先を促す。
「俺たちは、良くも悪くも平和ボケした一介の男子高校生です。使いこなせるかどうかも分からない力だけをもらって、剣と魔法が飛び交う世界に落とされれば、一日も経たないうちにここへ逆戻りする羽目になるでしょう……そのあたり、ご配慮いただけないでしょうか」
剣なんて持ったこともない、ただの日本の高校生。いくら力を継承できるとは言え、今のままでは脆弱過ぎてすぐにまた人生を終えることになりかねないと考えての提案だった。
『…確かにな。力については…恐らくお前たちなら大丈夫だと思うが』
『そうだね。よしわかった、じゃあこうしよう。君たちがあっちの世界でも生き抜けるように、少し身体を弄っておくよ。でも、残念ながら魔法の類は使えるようにはしてあげられない…継承の絶対条件に引っかかっちゃうからね』
「ええ、それで大丈夫です。海里、美空、二人もそれでいいか?」
「ん、大丈夫ー」
「ああ。俺もそれで構わねェ」
陸斗に同意を求められ、二人も各々頷く。
パツィは三人の返答に満足そうに笑い、そっと一歩前に進み出た。
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