15.Echo

5/20
前へ
/20ページ
次へ
光正とは頻繁に顔を合わせているが、 そんな話は初耳だったので 軽くショックを受けてしまう。 石原さんは確か27歳だっただろうか。 光正がその指導係を務めており、 美しくてとても聡明な女性だ。 よし、後で訊いてみよう。 取り敢えず今晩の光正の相手が 石原さんで無いことだけは知っている。 …なぜなら唯の面倒を 見てくれているからだ。 私達は同じマンションの 6階と8階に住んでいて、 たびたび一緒に食事しており。 そのお陰で唯が『ミツくん』と呼んで とても懐いているため、 飲み会などがある時は 彼に面倒を見てもらっているのである。 うーん、光正にそんなロマンスが。 でももう若く無いし、 そろそろ結婚を意識してもおかしくない。 そっか、そうだよな…。 少しだけ寂しくなったその時、 どこにいても目立つその男が戻って来た。 「あ、ちょっと、森嶋くん!」 「はい、何ですか?」 明らかに不機嫌そうな顔だ。 私だってこんなことを言いたくは無いが、 言わせるアナタも悪いのだと 心の中で思いっきりボヤく。 「えっと歓送迎会、一緒に行きましょう」 「は?何でですか??」 「2人きりで話したいことが有るの」 「ああ、はい、そういうことでしたら」 …という会話の10分後。 なぜか、どうしてか、 私は路地裏に連れ込まれ、 濃厚なキスをされていた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

445人が本棚に入れています
本棚に追加