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「ただいま」
「お帰りなさい、おかーさん」
「いい子にしてた?
ミツくんを困らせてなかったかな?」
「うん、大丈夫!いい子にしてたよ」
私に抱き着こうとして、
両手を広げたその瞬間。
背後にいる森嶋くんに気付いたのか、
分かり易く唯が固まった。
どうやら子供には慣れていないらしく、
森嶋くんの方も固まっている。
そこに絵本を手にした光正が顔を出す。
「雅、お帰り。
…ん?珍しいな、お客様かい?えっと、
キミは商品管理室の森嶋くんだよね?
ほら、唯。お客様にご挨拶は」
「おかーさんが
知らない人とは口を利くなって言った!」
「唯、この人はお母さんのお友達だから
口を利いてもいいよ」
「こんにちは!いさき ゆい7さいです」
残念ながらここで電池が切れたらしく、
立ったまま眠そうにフラつき出す。
「ああ、そっか10時だもんね。
もう唯は寝なさい」
「さっきまで布団に入ってて、
『おかーさんが帰るまで起きてる』とか
言いながらも半分寝てたんだよ。
雅の顔を見たから、安心したんだろう。
あっちで寝かせてくるよ」
そう言って軽々と唯を抱き上げ、
光正は奥の部屋へと消えていく。
その後ろ姿を見ながら
森嶋くんがボソリと呟いた。
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