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スーツに着替え、夜の街へ
「キラ、今から?」
「おう、来てねー」
街を歩いているだけで声を掛けられる。
店にはまだネオンががんがんに光り輝いてる。ここは俺の狩りの場所、女は金で俺たちを買いに来るんだもんな、喫茶店なんかやってられっか、こっちの方が稼ぎはいいんだ。
ここだけは季節、関係ねーよな。
源氏名はキラ
鏡張りの廊下、俺っていけてるよな自分に浸りながら、金色のポールの付いた扉を開けるとにぎやかな音が外に鳴り響きだした。
俺の方を一斉に見る人たち、女たちは俺に手を振り、猫なで声で誘ってくる。
黒服が俺の方に向かって走り出してきた。
「おはようございます、すみません、バックへ」
小さな声で俺のジャケットをクンと引っ張った。
「なんかあったのか?」
「とにかく来てください」
と、扉を開けた先、事務所に入る。
「オーナー、来られました」
大きなテーブルに向かい、下を向いていた男性が顔を上げた。その前にはさっき来ていた子供。
「お前?」
「あら知ってるの?」
ソファから見上げるようにこっちを見た。へーかわいい男の子だな。
俺の店の前にいた子だよな?
「この子がこんな物もってきたの」
大きな机の前にあるソファに座る子供を見ながら、オーナーの脇に立つと、手を伸ばした。手紙?
「中見させてもらったわ、どうもあんたのおやじさんの事みたいね」
手紙の表書き
児島信行様、おやじの名前・・・
裏を見た。
再婚することになりました、この子はあなたの子です。よろしくお願いします。
加奈子
そしてもう一枚渡された写真?顔を摺り寄せ笑っている、確かにオヤジとこの子だ。
「可奈子?誰だよ、お前、名前は」
「…咲」
「お前、女か?」
頷いた。
坊主ではないにしても丸刈りって。
「苗字は?」
「…」
「咲ちゃん、黙ってても調べればわかるのよ」
「田中咲」
警察
「無理でしょうね」
と言うオーナーに聞いた。
「何でですか?」
「だって、俺を訪ねるようにメモを持たせてあるじゃない」
ウソだろ、マジかよ。
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