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小さくため息をつくとグラウンドを走る体操服の生徒たちに視線をやった。
「イブキ!ね、イブキったら」
背後から囁き声がして、振り返ると眼鏡の少女が身を屈めて私を見ていた。
「イ……ブキ……」
「ちょっと、大丈夫?夕べ、高藤先輩と何があったの?」
私はイブキ。そう、渡辺 一颯(わたなべ いぶき)だ。高校1年。そして、彼女は小和泉 栞奈(こいずみ かんな)。
どうして一瞬わからなかったんだろう。私が私じゃないみたいな変な感覚だった。そして、怖かった。
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