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気がつくと、まず白い天井が視界に入ってきた。そして、カーテン。どうやら保健室のベッドに寝ているらしい。
体を起こすと、保健医が覗きに来た。
「起きたのね。もう大丈夫かな?」
「…………すいません」
保健医は私の下瞼をグイっと引っ張ると額に手をあてた。
「熱もないし、貧血だと思うけど……あなた、顔色悪いし早退する?自宅でゆっくり休んだ方が良いかも知れない」
自宅で休む?早退?
早退しても、自分の家がどこなのか……思い出せそうにない。本当に、私はどうしてしまったんだろう。
頭を抱え込んで、膝に顔を埋めると保健医は優しく髪を撫でて「もう少しここで休んでいきなさい」と言ってカーテンを閉めた。
一人になった空間で、自分の手を見てみる。
私は渡辺 一颯。そして、ここは私の通っている高校……。断片的に思い出される記憶を繋ぎ合わせて、ゆっくり思い出そうとしてみる。
昨夜は何があったのか。
それを確かめるには高藤先輩とかいう人物に聞いてみるしかない。
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