第四段階 嫉妬というプロセス①

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「やめるって何を」 「男としては見るなって事」 「見てないよ。あほじゃん。尾田って」 貴子は、尾田の頭をゲンコツで一回殴るとエレベーターへ乗り込んだ。 「そうかあ? あっちは、その気があったりしてな」 「まさか」 エレベーター上部にある階を知らせる数字を見ながら、貴子は笑い飛ばした。 「だってよ、俺見たんだ。お前を迎えに行ったら、お前と白井部長ってば手を握ってやがんの」 尾田の唐突な発言に貴子の笑いが消し飛んだ。 「何馬鹿な事言ってんの? そんな覚え無いんだけど」 「この目で見たんだから仕方ねえだろ」 「そんな事ある訳ないじゃん」 二人は、小突きあいながらエレベーターを降りた。 並んで歩きながら貴子は、少しこめかみを押さえた。 ―――うそでしょう。手を握った? 私と白井部長が? ありえないから。全く尾田ときたら何を考えてそんな事を言うんだか。 「おい、大丈夫か? 二日酔い」 「うーん。何とかね」 「藤谷、今度から飲みたいときは、俺を誘えよな。いいか?」 ビルを出て、信号を待った。 「わかった。ありがと」 ほっとしたように尾田が微笑む。 「でもさ、尾田は彼女いるじゃん。悪いよね。彼女に」     
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