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「ばーか。お前は女じゃねえだろ? 俺の相方だから特別」
―――特別かあ。そんな風に誰か男に言われてみたいもんよね。
目の前をたくさんの車が通りすぎて行く。
「そっか。そうだよね。で、彼女とは、どうなった?」
「どうもならねえよ。お前の邪魔が入ったからよお、まだ手を握っただけだ」
「ふーん。ごめんね」
尾田は走り去る車を眺める貴子の肩を軽く小突いて、したり顔を見せる。
「いいよ。そのうち、彼女の方からキスしてってせがんで来るかもな」
「えー、まさか。……でも、いいよね。尾田はそうやって独りよがりでもさ、夢中になれる相手がいてさ。羨ましい」
「お前も誰か好きになれば? ……そうだなあ、なんなら俺でもいいぞ」
親指を立てて自分の胸を指す尾田。そんな尾田を見て可笑しそうに吹き出す貴子。
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