第四段階 嫉妬というプロセス①

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「尾田は、彼女いるからノーサンキュー」 二人は、揃って横断歩道を渡り始める。 「じゃあ、彼女いなけりゃ俺の事好きになんのかよ」 「うーーん。どうかなー。無理かな」 「なんで」 「尾田は、単細胞だしー。喋りすぎるしー軽薄だから」 尾田を好きにならない理由を指折り数える貴子。 「軽薄を直したら?」貴子の顔を覗き込む尾田。 「直るかな? そしたら、考えてあげてもいいかもね。黙ってたらイケメンだし」 そんな尾田を見上げて、微笑む貴子。 「だろ? じゃあ、手っ取り早く俺にするか? 藤谷」 肩をつかまれた貴子は、怪訝そうに肩におかれた尾田の大きな手を見つめた。 「無理だって、尾田は相方だもん」 尾田の手をつまんで下におろすと、その手が今度は貴子の手を握ってくる。 「尾田、これは何? また、なんかの練習?」 無言の尾田。横断歩道を渡り終えた所で立ち止まった。 後ろには、通り過ぎていく車の唸るような音が聞こえていた。 「尾田!」 貴子の手を握る力が少しだけ強くなった。 「無口が好きなんだろ? だから、黙ってみた」     image=510745559.jpg
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