第四段階 嫉妬というプロセス①

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「そうだよ」 大きく息を吐く尾田。白い息が宙に舞う。 ―――だいぶ、寒くなったなあ。 首をすくめる貴子の首にグレーとホワイトの格子柄のマフラーがぐるっと巻かれた。 貴子が見上げると、そっと優しい顔して微笑む尾田がいた。 「尾田、これ貸してくれんの?」 「そう、貸しだからな。あとで利し付けて返せよな」 尾田が得意げに言う。 ―――なんだかんだいっても、尾田は結構優しい良い奴だったりする。 「うん。サンキュ。行こうか」 「うっす」 ―――尾田は、私の大事な相方だ。色々世話になってるし、世話してる。持ちつ持たれつの間柄だ。 「寒いから、急ごうよ。尾田」 そう言って、貴子は先に走り出した。
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