第四段階 嫉妬というプロセス①

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第四段階 嫉妬というプロセス①

―――やばいことになってしまった。何故、あんな飲み方をしちゃったんだろう。自分で自分が嫌になる。 貴子は、スマホを握り締めて廊下に立っていた。 「おう、行かないのかよ。外回り」 廊下にコートを着込んでやってきた尾田は、小さくなって立っている貴子に話しかけた。 「行く。行くけどさ。まずいって私。謝れてないんだけど。まだ」 「白井部長か?」 こくこくと頷く貴子。 「仕方ねえよ。やっちまったもんはよお。さっさと用意して行くぞ。白井部長にはさ、後から電話しろって」 「だけどさー」 ぐずぐずする貴子の腕を取り歩き出す尾田。 「尾田~」まだ、うじうじと悩んでいる貴子に尾田は、うんざりした顔を見せた。 「あ、そうだ。藤谷」 「ん?」 「言っとくけどな。いくら男に縁がないからって白井部長はやめとけよな」 尾田が貴子に耳打ちする。
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