第十一段階 甘い話には、裏があるという法則

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第十一段階 甘い話には、裏があるという法則

二階のガラス張りで作られた廊下からを見下ろすスーツ姿の男性二人組がいた。 「あ、あのデカイ男って前に見たことあるよな? 確か……」 思い出そうと斜め上を見る短髪の男性。 「デカイ男は、『mare』の営業だ」 ゆったりと余裕の笑みを浮かべる男性は、出入り口の方へ歩いていく貴子と尾田を見ていた。 「ああ、そうだったな。女の方は、結構美人っぽいな」 「藤谷 貴子。29歳。同じく『mare』の営業」 「さすが、女の事となると情報が素早いな。澤口」 短髪の男は、にやにやして背の高い男を見上げた。 「ねらった獲物は逃がさないからなあ。澤口は。もしかして、狙ってる女がいるって言ってたのって、あの女?」 短髪の男が、デパートから出て行く貴子を指差した。     
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