第十四段階 押してだめなら○○○みるという法則

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カンカンカンカン…… ここの踏み切りは、一度下がるとなかなか上がらない。 待ちきれない様子でサラリーマンやOLが遮断機を上げて渡るのが、当たり前になっていた。 それでも白井は、我慢してじっと待っていた。 今までは、他の人と同じように堂々と遮断機をくぐって渡っていた。だが、ある日の朝、くぐろうとして、ふと向こう側を見たときに、遮断機の後ろに立って電車の通過を待っている濃紺のランドセルを背負った小学生と目が合ってしまった。 蔑んだ顔で、白井を見ていた。それから、白井は遮断機を掴んでいた手を引っ込めて大人しく電車を待つことにした。あの日から、遮断機をくぐるのを止めたのだ。 白井がやめた所で、何度もあの子供は遮断機をくぐって渡る大人をみているはずだった。 それでも、子供の手本となるべき大人がルールを守れなくてどうするって思いが頭に浮かんでいた。 あの子供が同じようにして遮断機をくぐって渡ったら? 大人はどうするんだろうか? もしも、渡るタイミングが悪かったら?      
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