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やっと引き寄せた目覚まし時計の針を見て、僕は一瞬固まり、それを枕元に戻して仰向きになった。
ため息と共に目を閉じる。
寝過ごした・・・・・・。
僕の部屋はアパートの東側で、天気がいいとカーテンの隙間から差し込む朝日が瞼を直撃する。いやでも起きてしまうのだが、あいにく今日は雨、部屋は暗く、そのうえ目覚ましの音にも気づかなかったらしい。
さて、どうする・・・・・・。
急げば仕事に間に合わないことはない。顔を洗うのを省いて、朝食を抜いて、食べてないから歯も磨かなくていい・・・・・・。
と、僕は目を開けて天井を見る。
ゆっくりと右に旋回する蛍光灯と、六畳の部屋と世界。
でも、このくらいの眩暈なら、なんとか出勤できそうだ。
僕は上半身を起こした。
しかし・・・・・・。
いつも以上に地球の重力を感じて、再びベッドに着地する。
そして、ふとこう考える。はたしてそんな無理をする必要があるんだろうか・・・・・・?
関東エリアの拠点を一気に制する、今回のような大規模プロジェクトは、もうしばらくないだろう。
少なくてもこの一週間は、チームの連携を必要とするミッションはないはずだ。
おそらく僕に与えられるのは、残った地方都市を地道に回る仕事だろう。
今日一日休んだところで誰も困らない。
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