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やさしい雨
水しぶきを上げて走る車の音が、まどろみの中を通過する。
頭の上の窓を、雨がやさしく叩く。
薄目を開けたけど、部屋はまだ暗い。
いま何時なんだろう?
枕元にあるはずの目覚まし時計を見ようと、顔を上げ体をひねる。腕を伸ばすと肩がひどく強張っていた。
軽く眩暈がする。
雨の日特有のだるさに加え、おとつい終わったばかりの、大規模プロジェクトの疲れが、まだ体に残っているんだ。
細胞の一つ一つがひどく重く感じられて、それはまるで、自分の体が泥の中に墜落し、どっぷり浸かって沈んでいくようだった。
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