第十七段階 思いやるのが本物の恋

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「キスに歳とか関係ねえだろ。しっかし、頭にくる。俺が一発殴ってやる。なんでひっぱたかなかったんだよ」 「ひっぱたくのも嫌だったの。キスぐらいで動揺する私を見せたくなかった。怒る価値も無いって判断したから」 「はあ、全く! 嫌になる。」 ビールを一気飲みする尾田。 静かにながれるピアノ音楽を二人して聴いていた。 「でもね、服がさあ」 「服? すいません。もう一杯ください」 オーダーしてから尾田はネクタイを緩めた。 「うん。車の中に置いてきちゃったの」 「はあ? 白井部長のかよ」 頷く貴子。 「任せろ。俺が今から、取って来てやるから、それでいいか?」 「うん。ごめんね。尾田。でも、明日でいいからさ、今日は一緒にいてよ」 貴子の言葉に尾田は、ひとつため息をついた。 「一緒にいてとか、気軽に男にいうんじゃねえぞ」 「うん、わかってる。尾田だからいうんだもん」 尾田は首を横に振った。 「全く、俺は男じゃねえのかよ」 「うん。相方だもん。特別な存在だから」 笑顔を見せられて、尾田は、ますます頭を抱えた。 ―――こいつの笑顔に俺はめちゃくちゃ弱い。こいつの笑顔の為だったら俺は我慢できる。自分の事よりこいつの事を考えたい。いつも笑顔でいて欲しいから。     
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