第二十一段階 女に対する誤解

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第二十一段階 女に対する誤解

女に振り回されるほど、馬鹿な事はない。 道路を歩きながらタバコをくゆらせる澤口。最近は、喫煙場所が減りヘビースモーカーが生きにくい世の中になった。 -――白井って男は、思ったより馬鹿だな。女の為に上司に楯突こうとまで思っている感じだった。 少ししか吸っていないたばこを惜しむことなく煙の出たまま地面に落とす。足で踏み潰す事もせずに歩き続ける澤口。コートのポケットで鳴り始めたスマホを手にして画面を見つめる。 画面には、麻衣と出ていた。 「もしもし、麻衣ちゃん?」 滝川 麻衣。実家が金持ちで現役の大学生。今夜のデート相手だった。 「澤口さん! 今日の約束。覚えてる?」ういういしい声だった。 ―――若いってのは、いいよな。みずみずしい声を出す。歳をとると女の声は、低く何かがからんだような声になる。 「もちろんだよ。楽しみにしてるんだけどね、なんだか麻衣ちゃんに申し訳なくて」 銀座の街は、平日でもショッピング客で賑わっている。ほとんどが女性客だ。 「なにが?」 「デートの相手がこんなおっさんじゃあ、嫌だろ? 麻衣ちゃんならモテるだろうに」     
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