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◆
「ぎゃあああああ!」
朝起きてからの第一声は、我ながら情けなくなるくらい盛大な悲鳴だった。
頬に受ける飼い猫のざらついた舌の感触が朝のまどろみを解き、中々起きない飼い主に痺れを切らして朝飯をねだる鳴き声でようやく目を覚ます。
飼い猫との朝の一連のやりとりは、俺にとっての目覚めの儀式のようなものだ。寝返りを打って目を開けると、予想通り目と鼻の先に迫る飼い猫と目が合った。
鬱陶しくもあるが可愛いやつだ。わかったわかったと、布団を剥いで上体を起こし、撫でてやろうと視線を下に向けたときである。
黒いゴミの塊のようなものが枕元に転がっていた。
それが一瞬何なのか分からず顔を近づけた結果、その正体をもろに見てしまったがための悲鳴なのだった。
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