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「うん、ずいぶん久しぶりだね。最近Kフィットネスで会わないし」
「自主トレはやめたんです。貫一さんのメニューだけで十分だってわかったから」
「そっか」
三輪さんはふっと口端を上げた。
「うん、確かにそうだね。僕も吉田ジムで君のトレーニングに付き合わせてもらったけど、吉田会長はしっかりとした理論に基づいて、君の能力を引き出すために最適なメニューを組んでた。短期間であれだけのスピードアップを果たせたのは、君の才能や努力ももちろんだけど、吉田会長のメニューのおかげだと思うよ」
「はい。貫一さんは最高のトレーナーです」
貫一さんが褒められてうれしい。サムズアップしたいところだがすでにグローブをはめていたためできなかった。その代わり満面の笑みを浮かべて言うと、三輪さんは何か考える表情になってつぶやいた。
「……トレーナー、か……、」
「三輪さん? どうかしました?」
「ううん、何でもないよ。……えっと、じゃあ、次はいよいよ世界チャンピオンを目指すのかい?」
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