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「はい」
「そっかそっか。世界に挑戦するんなら日本王座は返上だね。じゃあ日本チャンピオンである君のイベントは、これがラストってことか」
「いえ、返上せず挑もうかと」
「え? それだと調整が難しいだろ」
「なんとかなりますよ」
「なんとかって……吉田会長は何て言ってるの?」
「好きにしろって」
「えええ……」
呆れた息をついてから、三輪さんは苦笑して、俺の肩をポンと叩いた。
「なら防衛戦にも励まないとね。……君は追われる立場になったんだ。勝つのも難しいけど、勝ち続ける難しさはその比じゃないよ。肝に命じて頑張ってね」
「はい」
「あったあった。やっぱトランクの中に落ちてた。あれ、三輪くん」
戻ってきた貫一さんにお辞儀して、三輪さんは出て行った。
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