俺の光

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「放っておけるわけないだろ。いいからもう止めろ、帰るぞ」 「嫌です」 「智典、俺はお前の……ッ、……トレーナーだ。言うことを聞け」 イラっとして彼の手を振りほどいた。 「帰ってください」 「智典……」 貫一さんの口もとが歪んだ。 それでもまた俺の腕に触れ、訴える眼差しを向けてくる。 ……もう、やめてくれ……! そんな悲しそうな顔をしないで欲しい。 だけど、彼にそうさせているのは俺なんだ。 あなたに心配をかけたくなかったのに。 あなたの前では強い自分でいたかったのに。 あなたの笑顔が見たかったのに。 笑顔どころか、今にも泣きそうな顔をさせてしまっている。
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