恋焦がれて

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北九州市でのイベントの翌週、うちに6人の練習生が入って来た。 全員未成年で、下は12歳、上は15歳だ。 16歳以下はプロテストを受けられないので、とりあえずアマのトーナメントへの出場を目標に、基礎から指導を始めることにした。 それと時を同じくして、長浜に紹介されたというトレーナーがやってきた。 それは、なんと三輪くんだった。 「え? なんで? ボクサーとしての活動はどうするんだ?」 「引退を決めました」 三輪くんいわく、アマチュアは就職でボクシングを離れる選手が多いので、大会のメインは大学生選手になる。彼らと戦うのは年齢的な衰えから年々厳しくなっていて、元々の体力的な問題もあり、そろそろ引き際だと思ったらしい。 だれどボクシングは好きなので、教師の仕事を続けながらトレーナーとして関わっていきたいと思い、長浜に相談したそうだ。 その頃ちょうど長浜がうちに連れてくるはずだったトレーナーの都合が悪くなり、別のトレーナーを探していたところだったので、それならばと、うちを紹介されたという。 「来てくれるのは嬉しいけど、うちなんかでいいのか?」
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