恋焦がれて

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「はい。吉田会長はいいひとだし、来宮くんはカッコイイし、願ったり叶ったりです」 ん……? 「新米トレーナーなので至らない点も多いと思いますが、一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします!」 そう挨拶した翌日から、仕事が終わるとうちに来て練習生の指導をしてくれるようになった。 三輪くんは新米だと言ったけれど、ボクサーとしてプロでもやっていける実力があり、キャリアが長いため知識も豊富で、なおかつ小学校の先生なので教え方もうまかった。……正直、俺より断然トレーナーに向いていた。 三輪くんが来たことによって、長浜が遊びに来る頻度も増えた。 この日もふらりとやってきて、もっと練習生を増やしてはどうかと提案してきた。 「来宮が日本チャンピオンになって箔もついたことだし、方々に募集をかければもっと集まるだろ」 俺は首を振った。 「これ以上練習生を受け入れるのは指導者の人数的に無理だ。スペース的にもな」
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