俺の光

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どうしてこうなった……ああ、そうか。俺が弱いからだ。 弱いから試合に負けた。 ボクシングは結果がすべて。 負けたボクサーなんて、何の役にも立たない。 ひどく投げやりな気分になった。 大好きな貫一さんに触れられているのに辛くて、大好きな貫一さんを悲しませているのが痛くて、自分が情けなくて、そこへ強くならなくてはという強迫観念も混ざって、いろんな感情で頭がごちゃごちゃして、もう、どうでもいいと思った。 「……そう不用意に触れないでください」 つぶやいて、貫一さんのアゴを掴んで仰向かせた。息がかかるほど顔を近づけて、 「襲いますよ」 「とも……」 「それとも襲われたいんですか? その体で俺を慰めてくれるんですか? ……この負け犬に、餌を与えてくれるんですか」 「!」
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