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俺は何を考えているんだ。……いいじゃないか、別に好きじゃなくなっても。
恋愛感情がなくなっても、こうして智典がうちのジムにいてくれるなら、それだけでいい。
才能ある選手を育てられるのはトレーナーとして幸せなことだ。
選手としてのあいつをサポートする、それで満足……していられたらよかったのに。
男としてのあいつまで、欲しくなってしまった。
……バカなんじゃないか、俺は。
もしあいつがまだ俺を好きだったとしても、俺はあいつより18も年上だ。楠木さんのほうが歳が近い。
それに男だ。……以前あいつ、子供が3人欲しいと言っていた。ふざけての発言だとわかっているが、今頃になってそれがボディブローのように効いてきた。
俺は、あいつに子供を作ってやれない。
あいつは強いだけでなく、若くて見目も良い。
あいつのおかげで女性ボクシングファンがうなぎ登りに増えた。
智典にキャーキャー騒ぐ女の子たちを見るたびに、俺よりも彼女たちのほうが智典にふさわしいと思う。彼女たちなら智典の望みを叶えられる。
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