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自分をいじめてイジメて、体はもうズタボロじゃないか。
挙句、心配してくれた貫一さんまで傷つけてしまった。
……なんて愚かなことをしているんだろう。
もう、やめようかな……。
そうだ、辞めればいいんだ。
俺はボクシングが好きだったわけじゃない。
好きになった人がボクシングジムの会長だったから始めただけだ。
痛くて苦しくてお金にもならない。こんな無益なこと辞めてしまおう。
そうすれば楽になれる。
体から力が抜けていく。
虚脱しながら、醒めていく。
貫一さんだって、こんな負け犬の世話なんてしたくないだろう。……それに、俺が辞めれば、彼は約束を果たさずに済む。
俺に嫌々抱かれずに済むのだから、きっと彼も安堵するはずだ。そうだ、彼のためにも俺はボクシングを辞めるべきだ。
そして二度と彼に会わない。
……会えない。
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