俺の光

14/42
前へ
/267ページ
次へ
自分をいじめてイジメて、体はもうズタボロじゃないか。 挙句、心配してくれた貫一さんまで傷つけてしまった。 ……なんて愚かなことをしているんだろう。 もう、やめようかな……。 そうだ、辞めればいいんだ。 俺はボクシングが好きだったわけじゃない。 好きになった人がボクシングジムの会長だったから始めただけだ。 痛くて苦しくてお金にもならない。こんな無益なこと辞めてしまおう。 そうすれば楽になれる。 体から力が抜けていく。 虚脱しながら、醒めていく。 貫一さんだって、こんな負け犬の世話なんてしたくないだろう。……それに、俺が辞めれば、彼は約束を果たさずに済む。 俺に嫌々抱かれずに済むのだから、きっと彼も安堵するはずだ。そうだ、彼のためにも俺はボクシングを辞めるべきだ。 そして二度と彼に会わない。 ……会えない。
/267ページ

最初のコメントを投稿しよう!

171人が本棚に入れています
本棚に追加