俺の光

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「確かにあいつのスピードは厄介や。国内であれに敵うやつは軽量級にもほとんどおらへん。あれだけの技芸をやってのけられるんもあのスピードがあるからや。……せやけど、単純な力比べなら、あいつはお前に敵わん。その右はあいつにとってめっちゃ脅威なはずや」 「だけど、パワーを武器に突っ込んでも届かないどころか返り討ちにあいます。フェイントもあの人には通用しません。……それに、スピード以前に……あの人に近づこうとすると、見えない何かに手足を絡め取られたように動き難くなるんです」 「そりゃ恐怖のせいや」 「恐怖?」 「素早く飛んでくる拳は、それだけで怖いもんや。しかもどっから飛んでくるかわからんとくれば防ぎようもないから何発もくらうハメになってダメージを負う。体にも心にもな。それがどんどん溜まって知らんうちにデカイ恐怖心になる。 恐怖心っちゅうのは、人の自己防衛本能や。それは無意識に自分を守ろうとする。自分からパンチへ突っ込もうっちゅう足を止める」 そうか……。
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