俺の光

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「そういえば、なんで加地さんが福岡にいるんです? ……もしかして俺を励ましに来たんですか?」 「アホか。ちゃうわ。ワイのエンジェルに会いたかったからや」 「エンジェル?」 「いや、えっと、そ、そうや、これやるわ!」 加地さんは慌てたようにバッグから小さな包みを取り出し、俺に放り投げてきた。 キャッチしたそれは、ブラウンとゴールドの瀟洒な小箱だ。大阪の有名パティスリーのロゴが入っている。 「フィナンシェや。たまには糖分摂取も大事やで。……まぁせいぜい頑張れや。次も負けたら二度と立ち直れへんくらい笑い飛ばしに来たるわ」 また来るのか。 ひらひらと片手を振って加地さんが去ったあと、俺も荷物を持ってKフィットネスを出た。
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