俺の光

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好きな人が目の前で傷つけられることは、こんなに痛いのか。 自分の痛みより遥かに辛い。 見たくない。 だけど応援したい。 頑張れ! 頑張れ! ……すでに満身創痍で頑張っている人に、追い打ちをかけるような言葉が出てきそうになる。 彼はもう十分頑張ってるじゃないか。 あれ以上どう頑張れというんだ。 ……本心では、もう戦わなくていい、倒れてくれ、休んでくれと思う。それでも、 勝ってくれ……! 無限にも思える葛藤の中、とうとう7ラウンドのゴングが鳴った。 直後、狙いすましたボディーブローが貫一さんの鳩尾に決まった。 貫一さん! 『ワーン、ツー、』 膝を折り、キャンバスに手を着いた貫一さんは、脂汗をダラダラと流して苦悶している。 それでも彼は諦めない。 キャンバスを引っ掻くようにして、立ち上がろうともがいている。 貫一さん……! もういい!  『スリー、フォー、』
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