心のガード

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「俺ならできる。三流が超一流になるのは無理だけど、俺はもともと一流のスピードを持っている。一流が超一流になるのはステップをひとつ昇るだけでいいんです」 開いた口が塞がらなかった。 言ってみたいそんなセリフ。 天才発言にぽかんとしていたが、智典の目を見て、その言葉が自信から発せられたものではないとわかった。 余裕などない。 ただ、もう二度と負けないために、確実に勝利のパーセンテージを上げられる方法を取ろうと決めたのだ。 できないと最初から諦めてはできるわけがない。できる、自分なら必ずできると言い聞かせるような必死さが、その目にはあった。 俺は頷いた。 「……わかった。確かにその通りだ。お前なら必ず柳瀬と同等のスピードを手に入れられる」 智典は、俺が組んだスピードアップメニューを毎日ストイックにやり続けた。その結果は如実に表れた。
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