心のガード

4/7
前へ
/267ページ
次へ
ウエイトベストとリストウエイトをつけて急な下り坂を全速力で駆け下りる特訓により、膝や股関節の筋肉を徹底的に鍛え、スピード筋力を上げたことで俊敏なフットワークを得た。 そして、反動を使いながらの素早い片手懸垂を繰り返したことで、広背筋や肩と腕の筋肉の瞬発力を上げ、残像すら残らない速射のパンチも手に入れた。 そのうえさらに技のレパートリーを増やすと言い出したときは、付け焼刃で身に着けた技なんか通用しないと返したが、智典の意思は固かった。 持ち前の器用さで技自体はすぐに呑み込み、何ラウンドもシャドウを重ねて体にも覚え込ませた。 三輪くんに頼んでここでスパーリングしてもらったが、文句なしの出来だった。 だが練習と実戦は違う。 あの柳瀬を相手にその技を出せるかどうか……。 「いい感じだぞ。これなら柳瀬に勝てる」 ボールを片付けて、ドリンクボトルを差し出しながら鼓舞すると、予想外の言葉が返ってきた。
/267ページ

最初のコメントを投稿しよう!

171人が本棚に入れています
本棚に追加