心のガード

7/7
前へ
/267ページ
次へ
俺は、お前と並んで歩きたいのに。 リングの上で戦うのはお前だけど、俺だって、心はお前と一緒に戦っているのに。 お前が傷つけば痛いし、負ければ目の前が暗くなる。 お前の憔悴した顔を思い出すだけで、こんなに胸が苦しくなるのに。 ……俺にも、背負わせてくれよ。 智典はシンプルだ。 好きだから、その理由だけで行動できる。 その子供のような無垢さがあったから、強敵にも怯むことなく挑めていた。 だけど心のガードはまだ未熟で、打たれ弱かった。 それなら、お前の心のガードは、俺がする。 お前を守り、支えたい。 お前はまだまだ子供なんだ。 これからどんどん成長していける。 もっと強くなれる。 ……いつか、いや、近いうちに、俺の支えも必要なくなって、遠いところへ行ってしまうだろうけど。 それでもいい。 お前を育てた誇りは、この胸に残り続けるから。 「……ああ、そうだな。お前ならきっと勝てる。自信持って頑張れ」 「はい」と返すその笑顔が、すごく尊いものに思えた。
/267ページ

最初のコメントを投稿しよう!

171人が本棚に入れています
本棚に追加