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紙一重でクリーンヒットにはならなかったが、柳瀬さんが大きく後退した。その背後にロープがある。
チャンスだ！
一足飛びで間を詰めた。
ロープを背負った柳瀬さんにラッシュをかけようとしたが、１打目が届く直前、柳瀬さんがロープのしなりを利用して横に逃げた。そのまま左サイドに回り込まれてしまう。
瞬時にガードを固めてそちらを向くと、眼前に白いグローブがあった。
「！」
とっさに頭を傾けて耳上に通したが、右のこめかみに熱を感じた。
引かれた白いグローブが、うす赤く汚れている。
すぐさま反撃のパンチを放った。
が、それが届く前に、柳瀬さんは華麗な跳躍でバックステップしていた。
くそ、距離を取られた……！
追おうとしたが、デジャヴを感じて足を止めた。
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