再戦

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柳瀬さんはすぐに無表情に戻り、再びスピーディーに動き出した。 俺の周りにサークルを描くようにステップを踏み、ロングジャブを繰り出してくる。 ビュン! ビュン! ジャブを連打したかと思うと、ヒュッ! スマッシュが入る。 リラックスした状態から突然放たれるノーモーションのスマッシュは、飛んでくるタイミングが掴みにくい。 前回も、これに翻弄された。 ……いや、単にタイミングだけであれば、俺の動体視力なら対応できていただろう。 タイミングではなく、出される拳のスピードにディフェンスが追いつかないことが問題だった。 それに追いついた今の俺は、スマッシュやフリッカーだけでなく彼のパンチ全てを防げる。 もう、怖くない! 程なくゴングが鳴ったが、2ラウンドも俺の勢いは止まらない。
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