再戦

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いける、いける……! 優勢に転じたことで心が沸いた。 だが、俺もさっきのダメージが尾を引いている。それに加え、脚をフルに使って動き続けていた疲労も表れてきた。 足腰に力が入らなくなり、パンチのパワーも落ちていく。伸ばしたグローブをパリングで弾かれた。 「!」 次の瞬間、アゴ先すれすれをビュンッ! と白いグローブが通過していった。 驚いて反らした上体へ、続けて右ショートパンチが飛んでくる。 防御も取れず、起き上がりざまの頬にくらってしまった。 「ぐ……!」 だが思ったよりダメージはない。 柳瀬さんのパンチのパワーも落ちている。腰が入っていない。手打ちになっている。なのに、 重い……! パン! パァン! ストレートが連打されるが、軽いジャブ程度のパワーだ。体にはさほどダメージはない……はずなのに、くらうたびに重力が増していく感じがする。 苦しい……! 脚が震える。 全身から脂汗が滴り落ちる。 力を込めすぎているのか眼圧で目が軋む。 ウワーン、ウワァーン……、と耳鳴りがする。
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