再戦

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苦しい……! だけど、苦しいのは俺だけじゃない。 柳瀬さんだって苦しいはずだ。 だからパンチの威力がない。 それでもミスブローをしないところはさすがだが、それだって、いつまで保つかはわからない。 俺は、柳瀬さんをここまで追い込んだ。 あとは勝つだけだ。 そうだ、勝つんだ。勝つ、勝つ…… 俺は拳を固めた。 柳瀬さんのこめかみに焦点を定めて、渾身の右ストレートを放つ。 だがそれを、柳瀬さんはスレスレで耳横に通した。 かと思うと、俺の首を抱えるように押さえ込んできた。クリンチだ。長い腕を俺の首に絡みつかせ、全体重で圧してくる。 そうして俺を押さえながら、わずかでもダメージを回復しようとしているのだ。 させない……! 柳瀬さんの拘束から抜け出そうともがくが、俺もダメージが蓄積しているため、彼の必死なクリンチを撥ね退けられない。 そこにレフェリーが割り入ってきた。 俺たちを引き剥がし、 「ボックス!」 腕を交差して再度ファイトをかける。
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