再戦

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「は、はい……」 どぎまぎして答えた貫一さんを、俺は横目でじとっと見る。 何ですか、その反応は。やっぱり女の人がいいんですか。……まぁ、そうでしょうけど……でも母さんと美咲さんは相思相愛のアツアツだから無理ですよ。 母さんたちを見送った貫一さんが、ほぉっ、と息を吐いた。そして、いまだ口を尖らせている俺を怪訝に見上げる。 「お前なんでそんな拗ねた顔してんだ?」 「してません」 「してるじゃないか。……まぁいいけど」 そう言って居間に戻ると、棚の上にある近所のスーパーのチラシを手に取り、 「今夜は祝勝会するぞ。買い物行ってくるからお前はゆっくり寝とけ」 「俺も行きます」 「いや、でも……」 「ずっと寝てたから体がなまってて、少し動かしたいんです」 「……そうか、ならまぁ、いいけど」 「ちょっと待っててください、着替え……あれ、」 そこで、バッグに入れていた予備の服をすでに着ていることに気づいた。
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