俺の光

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横隔膜と腹筋で呼吸をコントロールしているので息はほとんど乱れない。 ずっと跳び続けるうちに、汗も噴き出なくなった。 熱を放出できない体内はどんどん温度が上がり、まるで発火したようだ。肌が赤銅色になっていく。 それでも止めない。 容赦なく体を追い込んでいく。 もっとだ。もっと……! 悔しさが、全身にこびりついている。 それを振り払うように自主トレに没頭するが、やってもやっても消えはしない。どころかますます焦燥感が募っていく。いや、駆り立てられるようなこの切迫感は、もはや強迫観念に近い。 こんなんじゃダメだ。 もう二度と負けられないんだ。 もっと強くならないと。もっと……! そのとき突然、ドアがノックされた。 振り向くと、ドアにはめ込まれたガラス窓の向こうに思いがけない顔があった。 慌ててドアロックを解錠する。
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