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「寝汗かいてたから体拭いて着替えさせた。お前が着てた服は洗濯して干してるから」
「……」
この事態を深く理解しようとして、やめた。
あまり興奮するとまた気絶しそうだ。
「じゃあ行くか」
貫一さんに続いて、玄関を出る。
ここから一番近いスーパーは、いつものロードコースの途中にある。
走り慣れた土手を並んで歩きながら、一緒に買い物に行くなんて新婚さんみたいだなとニマニマしてしまう。
鼻歌を歌っているとスマホが振動した。父さんだ。
「もしもし」
「智くん、日本チャンピオンおめでとう」
「ありがとうございます」
「智くんの研ぎ澄まされた肉体、目から鱗だったよ。筋肉はサイズだけじゃない。外へ広がるビッグバンもあれば、内へと深遠さを増していく宇宙もあるんだね。いや、実に見事な造形だった。特にあの夢見るようなコラコブレイキアリスにはくらくらしたよ」
聞いているこちらがくらくらしそうだ。
試合内容よりも筋肉ですか。
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