俺の光

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「貫一さん、どうしてここに……」 部屋に入ってきた貫一さんは、怒りをこらえるように太眉を寄せて、 「……お前がここで自主トレしてるのは知ってた。体の状態を見れば、どんだけ追い込んでるのかもわかる。……それでも、お前の気持ちもわかるから、容認しようとも思ったけど、……お前、やりすぎだ。これ以上のオーバーワークは看過ごせない」 「でも、」と言いかけた俺を遮って続ける。 「三輪くんも心配してたぞ。お前を止めてくれって連絡がきた。……なぁ、こんなに無理して自分を追い詰めるなよ。体壊したら、それこそ取り返しがつかないんだぞ」 三輪さん……余計なことを。 彼とは何度かロビーで会った。 毎回スパーリングに誘うも断られ、休んだほうがいいと言われていた。 俺を心配してくれているのはわかっていたが、貫一さんにそんな連絡をしていたと知り、少し恨みがましい気分になる。 「おい、イタズラを先生に告げ口された小学生みたいな顔するな」 「してません」
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