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「いやそれじゃ…、あとで何が起こったか証拠が取れてるだけだし。犯罪立証するとか裁判するためはともかく、その場のお前をガードする役には立たないよな。あ、そうだ、向井のスマホにケ◯ベロスインストしよう。それで行き帰り送り迎えして、近くで待機しながらずっと音声リアルタイムで飛ばして聴いてれば」
「やだよ!」
わたしは速攻拒絶した。ちなみに『ケルベ◯ス』ってのは無くしたスマホを探索するため、とは表向きで実態はパートナーを監視、追跡するためのアプリだ。位置情報を知らせるのは当然、対象に知られずにスマホを介して証拠写真を撮ったり録音したりもできる。まあ、浮気の証明をしたりするのに使われることが多いらしいけど。
「だいいちわたしのはiPhoneだから。iOSじゃあれは使えないよ」
「よく知ってんな。でもiOSだって監視アプリあるだろ、似たようなの。それを探してインストすりゃいい」
とんでもないこと平然と言ってくれますね。わたしは徹底抗戦の構えで言い返す。
「絶対駄目。だって、あんたがアプリ起動してるかどうかこっちはわからないんだよ?エニシダさんとこ行ってる時じゃなくてもいつ、どこで何をあんたが聴いたり見たりしてるか判断できないじゃん」
「そんなことするかよ。…って言い切れないか、確かに」
思い直して口ごもる奴。そう、忘れもしない。こいつ、女の子の何気ない日常を覗きたい性癖のある変態なんだから。
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