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足許に神経を使って駅の階段を降りながらも思わず呆れる。奴は悪びれずけろっと弁解した。
「別に自分の楽しみのために買ったんじゃないよ。そういう記事書く必要があったからさ。知ってるか、ああいうのネットでポチ、で簡単に手に入るんだぞ。値段の割に精度もいいし。どうせいくつかあるしせっかくだから持ってけよ、念のために」
「まあ。普段使う機会もないだろうけど、そりゃ」
わたしはカードでぴ、と改札を通過しながら呆れて返答した。
「やっぱりそこまで必要ないと思う。何か不穏な雰囲気になったり怪しいな、と感じたらすぐに相談するから、青山くんに。せっかくわたしの都合に拘束されない時間ができたんだから、遠慮なく自由にしてていいよ。近くで終わるまで待つとかも特にしなくて平気じゃない?デリヘル嬢の送迎じゃないんだから」
「うーん…。そしたら手数料も受け取れないな、俺何にもしないわけだし。縁田さんちの案件に関しては。毎週同じ曜日に時間って決まってるから日程の調整もない。ガードにもつかないってんじゃ」
冗談ぽく紛らわして呟く彼に、わたしは頭を横に振ってみせた。
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