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牧島将「なぁ、花丸君、1年の夏までは、サッカー部だったよね? どうして辞めちゃったの? その体を持っていたら、もったいないよ。確かに大嶺監督の練習は厳しいよ。でもそれだけ、俺たちに愛情をかけているという裏返しだよ。花丸君も知っているでしょ? 大嶺先生は、島商でも、冬の選手権は優勝する前に転勤になったけれど、インターハイと、国体は優勝させているんだ。あの先生についていけば、絶対間違いないって! 今年のチームは、ゴールキーパーと、センターフォワードが弱い。先生のサッカーだったら、ゴール前に君みたいな背が高い選手がいないと、サイドからのクロスが有効ではない。中盤には長井秀樹がいる。俺の弟の、透がゴールキーパーに入って、花丸君が、フォワードに入ったら、絶対優勝できるよ!」 花丸「悪い、おいはもう、サッカーに興味なかけん」
牧島将「興味なかったら、なぜ負けた時に、あんなに興奮してたの?」 花丸「ぅぅん、今更、戻れんたい……」 そう言って、花丸は、悲しそうな顔をして、学校から下校していった。 不良グループが、話しながら下校している。 その途中に、公園がある。 不良生徒「そいたら、おいの彼女がさ…、えっ、・・・、・・…あれっ、あのリフティングしている大男、花丸じゃない?」 不良生徒たちは、リフティングしている大男に駆け寄る。 その様子を、車を運転している大嶺監督が、毎日通りかかって、今日も確認する。 大嶺「ほー、今日もやってますな。感心感心」 不良生徒「おい、花丸、何ばしよっと?」 その聞き覚えがある声に、花丸はその大きな体を丸めながら、恥ずかしがる。 花丸「い、いや、日課たい、興味無かばってん、ただの日課たいっ、」 そう言い残すと、花丸はものすごいスピードで、走って帰っていった。
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