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今まで経験した事のないような激しい律動に、私はどんどん溺れていった。快楽というものを知ってしまった。
快楽により意識を失い、快楽によって意識を戻す。それを繰り返していると、脳の片隅に私であって私でない頃の記憶が思い起こされる。
私の上で血の涙を流しながら激しく動く鬼を見ていると、当時の記憶が戻った。あぁ、この人は私が愛した最愛の人だ。
当時の名前を呼ぶと、彼は透明な涙を流した。
三日三晩、休むことなく彼は私に子種を流し込んだ。何十回目か、何百回目か分からない絶頂を迎えた時、人としての私は死んだ。
そして彼の子供を身篭った鬼となった。
鬼の子を産み、当時のように親子仲睦まじく暮らすようになった。
子供の最初の食料はあの男を与えた。
死んで欲しい人間がいるなら祠までおいでなさい。必ず私達が殺しましょう。
成長期の子供に、たくさん食べさせないといけないのですから。
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