鬼女

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鬼女

この時代に、と思うかもしれないけど、家同士の政略結婚で私はあの人と夫婦になった。 それは私が18歳の時だった。 あの人は私より10歳年上だったけど、イケメンと呼ばれる部類の人だったので、そこまで嫌とは思わなかった。 世間知らずの小娘だった私は、大人の男からするとさぞかし扱いやすかったことでしょう。 お互いの両親に孫はまだか?とプレッシャーをかけられていたけど、あの人は君を大事にしたいと言い行為はほとんどなかった。 生娘だった私は何も疑問に思わず、大事にされているんだと喜んでさえいた。 数年経っても子供が出来なかった私は不妊治療を始めた。 あの人は君の体に負担をかけたくない、と排卵日にだけ触れ合うようになった。 結婚して10年目にようやく子供が出来た。私やお互いの両親は喜んだけど、あの人はそうか……と一言だけ呟いた。 安定期に入った頃から、あの人は出張が増えた。私と子供のために仕事を頑張ってくれているとさえ思っていた。
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