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Black Lizard
Black lizard
神出鬼没の黒衣を纏った怪盗 ブラックリザード
凝ったカリグラフィーで綴られた予告状が届けば、どんなに警備を張っていても、獲物は確実に奴の手に奪われる。
「絶対に僕が捕まえる!」
刑事初仕事として任された美術館の警備は失敗。部下を総動員し、二十四時間体制で張っていたにも関わらず、消えた絵画。
盗品のオークションにも、闇の情報が集うバーにも聞き込みをした、それなのに何一つ足がつかない。防犯カメラに残された黒い影と絵画が消えたという事実だけが彼の存在を証明するかのようだった。
「お疲れのようだね」
薄明りの灯るバーカウンター。二席となりから声がかかる。
「ええ……まぁ」
一度見たら忘れられないような美しいブロンドの髪、健康的な浅黒い肌の端正な顔立ちをした青年がこちらを見ている。
「マスター、彼に何か作ってくれないか」
「かしこまりました」
「いえ、ご厚意はうれしいのですが、僕仕事中ですので……」
「ソフトドリンクなら捜査に支障はきたさないだろう?」
「……どうして、それを」
「こんな静かなバーだ、君がマスターと話している声は断片的だが大体聞こえたよ。なかなか苦労しているみたいだね」
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